自分でお店を開くというのは、理想の働き方の一つですよね。
なかでも喫茶店やカフェは、比較的気軽に始めやすいという印象です。


そこで今回は、実際にわたしがカフェを開店させたとき必要となった費用を参考に、
新規で喫茶店やカフェをオープンさせるときに必要な費用を数回に分けて系統別にご紹介します。

今回は営業開始前に確保しておくべき運営費用についてみていきましょう。

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オープン後の運営費用を用意しておくべき理由

もろもろの準備が終わり、いざ開店!とオーナーのテンションはマックスなのですが、
オープンしたてのお店は、膨大な費用をかけて大々的に広告を打っていない限り、
一般的には認知度がゼロです。

認知度がゼロということは、誰も知らないということで、
誰にも知られていないお店にお客様が来てくれるということはありません。

立地が非常に良く、工事中にもカフェができるとわかるような工夫がされていれば、
気にしてくれている人が来てくれる可能性は高いです。

が、それでも計画時に思い描いていたほどの来客が見込めないのが普通です。

お客様が来ない。

これは実は結構精神的なダメージが大きい出来事で、
オープンしたてのお店が抱きやすいトラウマでもあります。

けれど、この時点では心配は無用です。
あなたのお店が悪いからお客様が来ないのではありません。
お客様(予定)は、あなたのお店を知らないから行かないだけなのです。

となると、オープンして一週間も経つとあなたは広告を出す必要性を感じ始めます。
実際、オープンして一、二週間経つと、地域の情報誌などの営業さんがお店を訪れ始めます。

なかなか思うように来客のないお店を思って、
おそらくは数誌の情報誌にお店を掲載してもらうことになるでしょう。

これで安心。

そう思ったとしたら、それは認識が甘すぎます。
情報誌が発行されれば、怒涛のようにお客様が訪れる、わけではありません。

例えば、情報誌が10万部発行されたとして、それを手に取る人は1万人、
中身をじっくりと読む人は1,000人、あなたのお店を気にとめる人は100人、
実際に来店してくれる人は10人、というのが現実的な数字かなと思われます。

それでも発行されてすぐにお客様が来てくださればいいのですが、
広告や情報誌の効果が本格的に発揮されるのは、発行から3ヶ月くらい経ってからです。


つまり、前もって大々的に広告をかけていない場合は、
オープンしてから三ヶ月くらいはあんまりお客様がいらっしゃらない。

というのが現実なんですね。

もちろん例外もありますが、
広告費を多額に用意できない個人店は、大体はこんな感じです。

お客様を安定して獲得できるようになるまでの数か月は、
営業利益が見込めないのに家賃その他の経費は掛かります。

この数ヶ月でにっちもさっちもいかないようにならないために、
オープン前にあらかじめ数ヶ月分の運営費用を確保しておく必要があります。

お店のあれこれに多大な費用をすでにかけているので、
なかなか明確な支出先がない資金は確保しにくいかとは思いますが、
オープンしてから追い詰められないためにも、
最低でも3ヶ月分は運営費用を、開店費用とは別に作っておきましょう。


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運営費用の内訳を把握しよう

わかった、なんとか三ヶ月分の運営費用を確保しておこう、と決意したら、
具体的にどの程度の金額を確保しておくべきかを計算していきましょう。

まずは営業中の店舗が必要とする運営費をピックアップします。

カフェや喫茶店の運営費(月)

・家賃
・水道光熱費
・通信費
・広告費用
・リース代
・警備費用
・保険料
・仕入れ代
・消耗品費
・人件費
・その他

家賃

家賃(税込み)×3ヶ月分は絶対に用意しておきましょう。
3ヶ月分ともなると結構な金額となりますが、
家賃が払えないのが一番困るはずなので、消費税分も含めて用意しておきます。

水道光熱費

店舗の規模や地域によって料金が異なるので計算が難しいのですが、
1坪当たり5,000円で計算すると平均的な水道光熱費近い数字が出てきます。

通信費

店舗に電話を引く場合は工事費と月々の通信費用を、
インターネットを利用する場合は、プロバイダー料金なども、
オープンWi-Fiを設置する場合は、その費用も計算に入れておきます。

プラン等によりますが、大体1万円から2万円程度を見ておきましょう。

広告費用

開店前には広告をかけるつもりがなくても、
必然的に広告をかけざるを終えない事態になってしまうことが多いです。

まずは単発でも、とフリーペーパーからの打診もありますし、
お店のホームページを作りたくなったり、
ぐるなびなどのポータルサイトの有料会員になろうかなと検討したり。

そんなときに広告費に充てるだけの予算がなければ厳しくなります。
特に開店当初は大きな金額がかかってくる可能性が高いので、
1月当たり5万円から10万円くらいの予算は確保しておくと安心です。

リース代

厨房機器や空調など、リース契約をしている場合はリース料金も運営費用に含めておきます。
リースする内容によって金額が大きく異なりますが、
リース契約は開店前に行うことが多いので、実際にかかるリース費用の計算はしやすいかと思われます。

警備費用

警備を入れる場合は警備費用も含めておきましょう。
警備費用は警備会社やお店の広さ、導入する設備などによって大きく変わってきます。

なんだかんだで治安が悪くなってきたこの頃なので、
余裕があれば警備は入れておくほうがよいでしょう。

保険料

店舗の損害保険に入っている場合には、保険料も計算しておきましょう。
火災保険や水害保険はもちろんですが、
万が一の時のために盗難保険や食中毒に対する保険などにも入っておくと安心です。

仕入れ代

お客様がいらっしゃらないかもしれないとはいえ、
開店してしまえば営業中になってしまいます。
カフェで料理やドリンクが出せないというのは問題外ですよね。

そうなると仕入れが必ず必要になってきます。
まずは原価計算などをしたときの見込み売上高に対する仕入れ金を用意しておきましょう。

一般的に原価率は30%前後なので、
月に100万円の利益を見込むなら、仕入金額は30万円になります。

とはいえ、いきなり見込み通りにお客様がいらしてくれたなら
運営費用をあらかじめ用意しておく必要性も低いので、
ここでは将来的な見込み売上高よりも低めに仮定しておいてかまいません。

飲食店を経営していると、悲しいことにある程度の食材廃棄は避けられません。
もちろんできる限り少なくするべきですが、
開店当初は何がどのくらい注文されるのかや仕入れておくべき量、
そもそもお客様は何名くらいいらっしゃるのかなどの推測が難しいのですが、
とりあえずオープン一週間くらいは見込んでいる来客数や売上高に応じて仕入れをする必要があります。

そこで、オープン前に用意する運営費用の中の仕入れ代に関しては、
一週間分ではりすきーなので、せめて一ヶ月分程度は計算しておきたいですね。

消耗品費

不思議なもので、オープン前にしっかり準備をしたつもりでも
いざ開店してしまうと足りなものばかりということに気づきます。

事務用品や食器、調理器具、紙類の消耗品など、
わたしの場合もオープン前と同じくらい開店後に消耗品を購入するはめになりました。

それは実際にオープンしてしまわないと動線が決まらなかったり、
あると便利なものに気づかなかったりするからです。

最近では100円ショップの品揃えが全くバカにできないほどクオリティを挙げてきていますので、
大体のものは100円ショップで保管することができます。

家電などを買い足さない限りは数万円程度で事足りると思いますが、
この数万円も覚悟しているか否かで重みが変わってきますので、
あらかじめ用意しておくと精神的に穏やかに支出できます。

人件費

人を雇う場合はもちろんですが、ひとりで営業していくつもりでも
最初の一ヶ月くらいは手伝いを入れておいたほうが安心です。

実際に同種の営業スタイルでひとりで経営していた経験があるのであれば別ですが、
やはり最初はなにかにつけ戸惑ったり間違えたりするものです。

せっかくオープンしてお客様に来ていただいても、
すんなり料理が出せなかったり粗相があったりしたのでは非常に残念です。

万が一のときに多少は裏を任せられる助っ人をお願いしておきたいですね。

三ヶ月分の運営費具体的な金額

以上が基本的な運営費の内訳になります。
そのほか独自に契約しているものがあれば、そちらも計算しておきましょう。

席数や見込みの客単価などにもよりますが、
大体20席前後の喫茶店やカフェで上記の費用を確保するとしたら
100万円前後は用意しておきたいですね。

結構な金額ですが、計画当初から計算の中に入れておくことで、
万が一臨んだような集客が見込めなくても、
用意している運営費用で賄っているうちに対策を立てることができます。

最初の数ヶ月を、実際に営業を行いながら試行錯誤して、
お店を作り上げていく準備期間にするということですね。

あなただけの素敵空間を作り上げるために、
頑張ってオープン後数ヶ月分の運営費用を用意しておきましょう。


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