「君の膵臓をたべたい」
この奇抜なタイトルの小説を、
読んだことはなくても一度は目にしたことはあるのではないでしょうか。

2016年本屋大賞第2位、読書メーター読みたい本ランキングでは
第1位を獲得した話題作が、この夏、映画になります。

スポンサーリンク

「君の膵臓をたべたい」とは

小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿された同作品が話題になり、
2016年6月に単行本として双葉社から出版されました。

タイトルを略した「キミスイ」という言葉は、
奇抜なタイトルと作品の美しい文章のギャップとともにネットで話題になりました。

あらすじ

膵臓の病で余命を告げられた少女・山内桜良と
その事実を唯一知っている彼女のクラスメイト「僕」。

正反対で、仲良しで、秘密を共有する二人の日常が描かれている。
「死ぬまで元気に」と懸命に日々を過ごす彼らに訪れるものは、
楽しいだけでも悲しいだけでもなく、特別で不公平で平等な真実―――。


映画「君の膵臓を食べたい」

出演者:浜辺美波・北村匠海/北川景子・小栗旬
公開日:2017年7月28日(金)

あらすじ

高校時代のクラスメイト・山内桜良(浜辺美波)の言葉をきっかけに
母校の教師となった【僕】(小栗旬)。
彼は、教え子と話すうちに、彼女と過ごした数ヶ月を思い出していく―――。

映画「君の膵臓をたべたい」公式サイトより

原作とは異なる視点で描かれるストーリー

原作と映画で展開が異なる作品は多々あります。
この映画もそんな作品の一つで、そもそもの視点が原作とは全く異なります。

けれどこの映画は、設定から原作をとても大切にしていることが伝わってきます。

まず、視点が原作には出てこなかった12年後の【僕】のものですが、
【僕】の職業が教師だということに深い原作愛を感じます。

なぜなら山内桜良が【僕】に教師になりなよと言ったのは、たった一度だけ。
長い物語のたった一つのセリフを設定に活かす点に、愛情を感じました。

原作を大切にする姿勢は、予告編からも窺えます。
予告編は映画「君の膵臓をたべたい」公式サイトで観ることができます。

スポンサーリンク


原作「君の膵臓をたべたい」

あらすじ

本の紹介 ある日、高校生の僕は病院で1冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それは、クラスメイトである山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていた。こうして、偶然にも【ただのクラスメイト】から【秘密を知るクラスメイト】となった僕。

双葉社公式サイトより

書評

これは確かに青春小説でした。

「気持ちの方向性が合わない」ふたりの、
不思議な雰囲気のなかで過ごしていく数ヶ月の出来事を「僕」が語る物語でした。

その不思議な雰囲気はやはり青春としか言いようがなく、
だからこそ、青春小説と呼ぶことに抵抗がない、そんな小説です。

最後まで読んだなら、プロローグの「僕」の状態がいっそう理解できることでしょう。
そしてそこからまた、もう一度この物語に引き込まれていくのです。


この小説に少しでも流行りの雰囲気を感じて、
またはデビュー作ということで読むのを躊躇っている人がいるのなら、
安心して読んでくださいと伝えます。

死を背景にした、ある意味では流行りの設定ですが、
物語は決して軽々しくはなく、重すぎもせず、薄っぺらでもありません。
小説として、物語として、恐ろしいまでの魅力を持った作品です。

この作品にデビュー作の初々しさ(稚拙さ)はなく、
たくさん文章を書いてきたことが分かる文体、
弾むような会話には並々ならぬセンスすら感じさせます。

タイトルもまた、ただ奇抜なわけではなく、
作品を深める要素とともに、作者の試行錯誤の結晶となっているため、
そういった背景を知るとますます愛しくなります。


原作者「住野よる」

繊細な文体と美しい文章から、女性と思っている人も多いかと思われますが、
原作者である「住野よる」さんは大阪府在住の男性です。

コミカルで小気味の良い会話運びは、男性作家らしさが垣間見えます。

「君の膵臓をたべたい」はデビュー作ですが、
何かしらの文学賞を受賞したわけでもなく、
掲載していた「小説家になろう」でもランキングに入っていたわけでもありません。

それでも出版社の目に留まり、
作品が出版されてからは高い評価を得ている新進気鋭の小説家です。

「住野よる」を見つけてくれた作家・井藤きくさんには感謝してもし足りません。
おかげで彼の作品と出会うことができ、彼の文章に触れることができ、
そして今後もリアルタイムで彼の作品を楽しむことができるようになったのですから。

住野よるの作品

・君の膵臓をたべたい   (2015年6月17日)
・また、同じ夢を見ていた (2016年2月17日) 
・よるのばけもの     (2016年12月7日)
・か「」く「」し「」ご「」と「 (2017年3月22日)


まとめ

映画公開まで待ちきれませんね。
原作を読んで映画を見るとより一層楽しめること間違いなしです。

>君の膵臓をたべたい [ 住野よる ]

価格:1,512円
(2017/4/4 20:00時点)
感想(27件)

スポンサーリンク